「嫁ぐ」という言葉は多様化する結婚様式が認められた現代では死語になっているかもしれません。
お客様からの御相談で、結婚に関する案件をたくさん頂きます。
そこで、結婚に対して今一度考えてみたいと思います。
結婚とは、違う家の人間が1つの家族となるという点では、どのような様式であれ変りはないと考えます。
「結婚がしたい」という男女の御相談はよく受けます。
又同様に、結婚はしたけれどこじらせているご夫婦もたくさんいらっしゃいます。
お話をよくよく伺うと、結婚という意味を履き違えている方が多いように思います。
古い思想に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、一番スムーズにゆく結婚は、男女のどちらかがきちんと「嫁ぐ」という事だと私は考えます。
最近は、夫婦別姓の思想も広まっていますが、家族というのは、小さな会社と同じです。会社には社名が必ず存在します。
そして、CEOなり社長というのも必ずいらっしゃいます。
業務形態が一緒の会社なのに名前が2つある。社長が2人いる。
こういう会社には、一体どちらに顧客の人は依頼すれば良いのでしょう?混乱を招いてしまいます。
そういった意味で、夫婦は同じ姓を名乗ることが肝要だと考えます。
自分で仕事を持つ人などは便宜上通称として従来の姓を名乗るのは良いでしょう。(会社でいうと、業務が違う部署の名称が変わるような感じですか)ですが、戸籍などは1つの姓に統一するのが良いと思います。
そして、社長というのは、誰よりも多くの責任を背負う存在です。
家の家長は、男女を問わずその責務を果たせる人がなるべきです。
そして、家長以外の人は、家長を主としてより良くサポートするべきなのです。それが嫁ぐという事です。
会社でいうと副社長の役割です。どちらも重要な役割には違いありません。社長が思い悩んだ時、副社長が肩を押してあげたり、進む道を整えたりするのです。周易では、この関係性を「乾徳」と「坤徳」と云って讃えます。
今回お話するのは、それらの徳を婚姻関係になぞらえてお話しています。その徳の意味を履き違えた時、トラブルが発生します。
よくある例として3つのこじらせパターンを紹介します。
1つ目は、結婚をして嫁いだけれど、実家への依存や自身のプライドが邪魔をして、家長の存在をぞんざいに扱ってしまうパターン。このような人は自分が中心なので家長をサポートする意志がありません。
2つ目は、実家が居心地良すぎてなかなか結婚に踏み切れない。若しくは結婚はしたけれども、精神的に嫁いでいないパターン。このような人は何かにつけて言い訳や問題を作っては、実家との縁を濃くしようとします。また、実家の方も甘やかします。
3つ目は、実家を離れて嫁いだけれど、嫁いだ先に家族として受け入れられないパターン。このような人は、その人自身や実家に問題があるとか、受け入れる先の家の人の気位が高い場合が多いです。
これらのケースは、夫婦としての基盤を築きにくく、様々なトラブルの元凶となります。
嫁ぐというのは、今までの家系を離れる覚悟をして新しい家系へメンバーとして入る事です。
また、迎え入れる側は、今までの家系を離れる覚悟を決めてメンバーとなってくれた人を喜んで迎え入れる覚悟が必要です。
どちらとも、相当な覚悟が必要なのです。
そして、嫁がせた家の者は、新しい家系に収まった家族の安寧を祈りながら、遠くで見守ってあげる覚悟が必要なのです。いつまでも色濃く巣立った家族の景色の中に居座っていてはいけません。
たとえ安易な恋愛や安易な結婚から始まったとしても、上記の覚悟を、関わる人達が皆同じ思いで決めてゆくのなら良いのですが、そのうちの誰か一人でも心根が未熟なままであるといずれは破綻します。
結婚とは、そういった覚悟が必要な行為です。
嫁ぐ覚悟。嫁がせる覚悟。嫁いで来て貰う覚悟。
その覚悟が出来た家庭は、喜びに包まれます。
そもそも本来結婚とは、素晴らしい制度であるからです。
家族を持つ。家族が増える。こんな喜びはありません。
しかしながら、結婚には覚悟が必要です。覚悟がない場合は、結婚というスタイルを取らなくとも良いかと思います。そういう意味では良い時代になったので、柔軟に家族を築くベストな形を2人で模索すると良いでしょう。お子さんの結婚問題で悩んでる親御さんも、その覚悟があるのかどうか、今一度考えてみて欲しいと思います。
以上の事は、時代錯誤な思想だと揶揄されるかもしれませんが、良好な婚姻関係を継続している人達とそうでない人達を観ていて私が感じた私見です。
幸い、日本には、結婚という制度もある反面、離婚という制度もあります。形骸化した結婚は拷問と同じです。そこに学びがあるなら価値はあるとは思いますが、そうでない場合疑問が残ります。
なるべく授かったご縁を繋ぐという意味で、あまり離婚を後押しすることはしませんが、離婚するのが良い場合もございます。
次回は離婚についてお話したいと思います。
最後までお読み下さりありがとうございました。